耶馬溪の景観と手彫りの洞窟:青の洞門

江戸時代に手掘りで造られた洞門は歴史的価値が高く大分県の史跡に指定されている。 洞門の上には耶馬溪の競秀峰の岩壁がそそり立ち景観としても素晴らしい。
青の洞門について
青の洞門を見ているだけでは、単に岩に掘られた道でしかないが、観光にはそのいきさつを知ることが重要である。
江戸時代、競秀峰の高い岩壁がそそり立つこの区間の道は鎖を命綱にしただけの非常に危険なもので、毎年、多くの人が命を落としていた。
諸国を巡礼していた禅海和尚が耶馬渓へ立ち寄ったとき、この話を聞き心を痛めた。そこで、禅海は托鉢勧進によって資金を集め、雇った石工たちとともにノミと鎚だけで岸壁を掘り始め、30年の年月をかけて全長342メートル、うちトンネル部分の合計が約144メートルある洞門を貫通させた。
現在は拡張工事が施され、自動車が通れる道路になっており、当時の洞門とは大部分異なっている。

しかし、一部であるが、川側に降りると江戸時代の手彫り部分の洞門も残っており、当時の苦労を伺い知ることができる。その他にも川側の外から当時の箇所と思われる場所が幾つか見ることができる。

川沿いが難所であれば、山の上を通ればよいと思うが、確かに、この用に奇岩の岸壁では、上を通ることも難しそうである。

青の洞門のある場所
大分県中津市の耶馬渓、山国川に面し競秀峰の裾に位置する。JR日豊本線の中津駅からバスで約30分である。
菊池寛の「恩讐の彼方に」
実際の話はあまり面白くないが、菊池寛がこの手彫りの洞窟を素材として「恩讐の彼方に」という短編小説を創作している。
これは仇討ちの要素を取り入れた非常にドラマチックな話になっており、子供の頃読んでがまだ記憶に残っている。
耶馬溪の景勝地
青の洞門の上は耶馬渓の奇岩競秀峰がそそり立ち、景観が素晴らしい。耶馬日田英彦山国定公園の域内にも含まれている。特に晩秋の紅葉時期が素晴らしいとのこと。
洞門からはこの景観を見ることができないが、洞門を山国川に沿って進むと、対岸に渡る橋がある。 対岸には大きな駐車場もある。
